実車について:
1950年代半ば以降、BSAは有名なDB34 Gold Star系改装シングルエンジンで
英国のクラブマンTTレースに連戦連勝を続け
遂には55年56年の2年連続優勝で
BSAのワンメイクレースと化したTTレースはその幕を閉じてしまいます。
アメリカのプロダクションレース(500cc限定 SVは750cc)でも同様に
BSAシングルはハーレーを打ち破ってきました。
しかし60年代に入るとノートンやトライアンフのバーチカル・ツイン勢が戦闘力を増してきたため
BSAもA7シューティングスターのツインエンジンをDB34系の車体に搭載したClubman Twin A7を誕生させます。
その後プロダクションレースは650ccが主流となったため、
1961年、同じDB34系車体にA10 Super Rocketエンジンを搭載して
この650 Gold Rocket Starが誕生しました。
シングルの最高峰500 Gold Starに対しBSAツイン機種の最高峰と言われています。
その後、650cc2気筒エンジンが別体型A10からユニット型A65系への変化したため
僅か18ヶ月間でその生産を終えてしまったことも人気の秘密かもしれません。
製作:
キットは1/9でPMEというイギリスのメーカーのようです。
オーナー初のホワイトメタルキットに挑戦です。磨いて、磨いて、磨いて、さすが金属は質感が違うと思いつつまた磨く。
メタルプライマーで処理して塗装にかかりますが喰い付きは相当悪いね。
そして大きなパーツを半田付け、小さなパーツはエポキシや瞬間接着剤で、と簡単に考えていたんですが
これが相当難物。何しろ重い。小さな部品まで重いんだからプラモデルの接着レベルで考えていると大間違いです。
仮組み状態から頭では理解していたものの、組み上げていくと左手で持ち続けるのも疲れるほどで
いやはや、これに比べればプラモ製作は楽です。
重さでスタンドはヘタるは、フロントフォークは曲がってくるはで、
結局オーナーの嫌いな飾り台に固定という方法をとらざるを得ないようです。
バイク模型は動態保存でないとねェ。
仕上げ:
全体のデッサンはとてもいいんですが、このキットには致命的?な欠点が2つあって
一つはタンクのパーツ割りと全体形状。ホワイトメタル・ボディにクローム・メッキの両サイドなのですが
形が悪く尻すぼまりなこと。赤ラインを入れる縁がクローム側にモールドされていて修正できないことです。
もう一つは痩せすぎたホイール・リムとエッチングのスポーク。
組むのも大変ですが上手く組み上がってもみすぼらしい。肉薄すぎるタイヤも問題です。
タンクは諦めてそのままですが、ホイール・リムは昔、プロタージャパン岡部氏が特注され販売されていた貴重な
本当に貴重なアルミHリムを使ってしまいました。お蔭で脚下は俄然良くなりましたね。
汚しや錆はいつもの手です。
金属パーツをわざわざ錆び仕上げするのも変なもんだなと思いつつ半完成。
ナンバリングや飾り台は暫くお預けです。
キットについて:
PME社という会社は良くわかりません。
英国のRAE社のバイク模型(日本ではMAKE UP社が販売)にパーツを供給して
いる会社とK.SUGITA氏には聞きました。
1/9シリーズは、他にもDBD34、トライアンフTR6やボンネビル、バスタブの
サンダーバード、それに何とヴェロセットなどまであります。
このBSA 650はマンチェスターのゴールデンロケットオーナークラブの特注
で作られたものと説明書にはありました。
キットが届いたときはその箱の小ささと重さ、そしてぎっしり詰まった小さな
メタル・パーツに驚きました。
オーナー初挑戦のメタルキットなので、いろいろ文句を言っていますが、車種
選定、デッサン力、パーツの仕上げなどどれをとっても一流のキットであること
は間違いありません。金属の質感と重量感もプラモデルの比ではありません。
パワーが出てきたらまた挑戦したいシリーズです。
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